感覚器工学研究グループ

研究代表者:冨田 浩史

目的

五感(感覚器)は、日常生活で外界からの情報を得る手段として、重要な役割を担っています。本グループでは、五感の中でも特に、視覚、嗅覚、味覚に焦点を絞り、分子レベルでの感覚受容機構から感覚を利用した動物のコミュニケーションなどの行動レベルまでを包括的に研究を行い、感覚器障害の治療法開発など、より良い高齢化社会の創造を目指します。

構成員:7名(2015年7月現在)

視覚 : 冨田 浩史、 菅野 江里子、 荒木 功人、 明石 卓也
嗅覚 : 山下 哲郎、 宮崎 雅雄
味覚 : 若林 篤光

研究概要

遺伝子導入による視機能再建(冨田・菅野):

中途失明原因の上位に位置する疾患に網膜色素変性症や加齢黄斑変性症があります。これらの疾患では網膜の光受容細胞が選択的に障害されるため失明に至ります。我々は緑藻由来の光活性化遺伝子を失明後も網膜に残存する神経細胞に導入し、光受容能を新たに賦与することによって視覚を再建する遺伝治療研究を行っています。

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高レベル軸索性RNA(荒木):

神経軸索における局所的タンパク質合成は、神経回路発生や神経軸索再生において重要な役割を果たし、またシャルコー・マリー・トゥース病や脆弱X症候群、脊髄性筋萎縮症といった幾つかの遺伝性神経疾患にも関連します。私たちは多くの脊椎動物の視覚情報処理の中枢である中脳視蓋において高レベルで軸索性RNAを保持する神経軸索を発見し、その機能について解析を進めています。

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画像からの潜在情報抽出(明石):

人間の視覚能力をコンピュータビジョン技術に取り入れ,医療福祉分野やロボット工学分野に応用することを目的としています.特に,一般的な画像処理では検出できない図形などの潜在情報を遺伝的アルゴリズムに代表される進化計算といった人工知能を用いることで,抽出することを可能にするといった研究を行っています。

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ほ乳類におけるケミカルシグナル受容機構の解明(山下・宮崎):

多くの動物は様々なにおい分子やフェロモンを分泌して繁殖や仲間とのコミュニケーションに活用しています。また、植物の出すにおい分子がほ乳動物に対しても行動や生理に影響を与えることが知られています。我々は、ほ乳類に作用する匂い物質やフェロモンの同定とその作用機構の分子メカニズムを明らかにするための研究を行っています。

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高等動物の味覚受容機構の解明(若林):

高等動物は基本五味と呼ばれる5つの味(甘味、苦味、うま味、酸味、塩味)を感じるとされています。このうち甘味、苦味、うま味については味覚受容体分子が明らかになっていますが、酸味と塩味の受容機構については不明な点が多く残されています。我々は、線虫という簡単なモデル生物での研究を足がかりに、高等動物における味覚受容体分子の同定に取り組んでいます。

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研究実績

1. Tomita H, Sugano E, Murayama N, Ozaki T, Nishiyama F, Tabata K, Takahashi M, Saito T, Tamai M, Restoration of the majority of the visual spectrum by using modified Volvox channelrhodopsin-1. Mol Ther. 22(8),1434-40.2014
2. Miyazaki, M., Yamashita, T., Suzuki, Y., Saito, Y., Soeta, S., Taira, H. and Suzuki, A. A major urinary protein of the domestic cat regulates the production of felinine, a putative pheromone precursor.Chemistry & Biology, 13:1071-1079. 2006
3. Yoshida K, Hirotsu T, Tagawa T, Oda S, Wakabayashi T, Iino Y, Ishihara T. Odor concentration-dependent olfactory preference change in C. elegans. Nature Communications, doi: 10.1038/ncomms1750. 2012
4. Nakamuta S, Nakamuta N, Yamamoto Y, Onodera N, Araki I, Transient appearance of the epithelial invagination in the olfactory pit of chick embryos. J Vet Med Sci. 77(1):89-93. 2015
5. Sato J, Akashi T, Performance Comparison between GA and PSO in Video Processing, 11th International Conference on Quality Control by Artificial Visionnal Conference, pp.162-167, 2013

リンク

冨田研究室

荒木研究室

明石研究室