第3回SPERC イオン液体講演会

 この度、岩手大学理工学部附属ソフトパス理工学部研究センター(SPERC)では、千葉大学大学院工学研究院 津田哲哉 先生をお迎えして講演会を開催します。電気化学をご専門とされる津田先生は、長年、イオン液体および溶融塩技術を基盤とした電解技術および新型電池のご研究に従事されて、目覚ましい研究成果を上げてこられました。
 今回、津田先生の多方面に展開されているご研究の一端をご講演いただく予定です。エネルギー科学等の分野に関心をお持ちの教職員、学部学生、大学院生をはじめ、本学関係者以外のどなたでも参加できます。お誘い合わせの上、是非ともご参加下さい。
 なお、本講演会は第43回INSエネルギー変換技術研究会講演会および第6回岩手大学電気化学セミナーとの共催事業になります。


      記


主 催: 岩手大学理工学部附属ソフトパス理工学研究センター(SPERC)
    水素利用技術研究グループ イオン液体サブグループ
共 催: INS エネルギー変換技術研究会
協 賛: 日本化学会東北支部(予定), 電気化学会東北支部(予定)
日 時: 令和5(2023)年9月6日(水) 13:15~14:15
場 所: C13 理工学部5号館南棟2階200号室 (理工学部内)
    (〒020-8551 岩手県盛岡市上田4-3-5)


講演者:津田 哲哉 先生
    千葉大学大学院工学研究院 物質科学コース 教授 岩手大学 客員教授
    (研究室HP: https://www.tp.chiba-u.jp/ms/)


参加費:無料(教職員,学生,一般)
連絡先:宇井幸一(理工学部 化学コース,イオン液体サブグループリーダー)
    TEL: 019-621-6340,
    Email: kui☆iwate-u.ac.jp(☆を@に変更してください)


概要:「AlCl3系深共晶溶媒・無機イオン液体を電解液としたアルミニウム電気めっき 」


黎明期のイオン液体研究はアルミニウムハライド系イオン液体に関するものが殆どであったが、このイオン液体を構成する有機塩は合成が困難、吸湿性が非常に高いなどの理由のため、大気中で取り扱うことのできるイオン液体が1990年代に登場するまで、イオン液体が研究対象となることは稀であった。現在も、イオン液体研究の多くは大気中で取り扱うことのできるイオン液体に関するものであるが、近年、注目されつつあるアルミニウムリサイクルプロセスやアルミニウム負極二次電池に利用される電解液には、塩化アルミニウム(AlCl3)を利用したイオン液体や深共晶溶媒(イオン液体と類似の物性を有し、合成が容易である。)を使用することが一般的である。しかし、これらの電解液には、イオン伝導度や吸湿性、合成コストに改善の余地が残されており、我々はそれらの克服を目指して、新たなAlCl3 系イオン液体・深共晶溶媒の合成に取り組んでいる。その過程において、イオン液体の設計コンセプトをAlCl3系溶融塩(液相温度域が100℃を超える液体塩)に導入することで、無機塩のみで構成されるAlCl3系無機イオン液体の合成が可能であることを見い出した。本講演では、AlCl3をハライド塩に用いた有機イオン液体を例にして、AlCl3系イオン液体・深共晶溶媒の特徴を概説するとともに、それらの電解液を用いたアルミニウム電気めっきに関する最近の成果について紹介する。


Key words:イオン液体, 深共晶溶媒 無機イオン液体 アルミニウム, 電気めっき